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このところ「インターネット」という言葉を目にしない日は少ない。
新聞を開けば、人気ロックグループのR.Sのアメリカ公演を「インターネットで生中継」などという記事にまで出合う。
インターネットというのは、テレビのようなものなのだろうか。
ときには、インターネットで本が注文できるなどという新聞記事にお目にかかることもある。
すると、インターネットは、ファックスのようなものなのか。
別の日の新聞には、インターネッ卜で雑誌が読めるという記事が載る。
それでは、雑誌のようなものなのか。
インターネットについてのニュースが増えてくるにつれて、私たちの頭は混乱するばかりである。
いったい、インターネットはテレビなのか、それとも雑誌や本なのか、ファックスなのか、なんなのだろう。
これらとはまったく別のものなのか。
よく意味のわからない「マルチメディア」という言葉と交替するかのように出てきた「インターネット」。
インターネットは、一時のブームで終わるのか、それとも私たちの生活を大きく変えてしまうものなのか。
まず、私たちが使い慣れている電話や郵便、見慣れているテレビ、聞き慣れているラジオやCD、読み慣れている本や雑誌を引き合いに出しながら、インターネットとはいったいどんなものなのかを説明していきたい。
最初で触れたR.Sアメリカ公演をインターネットで生中継するという記事は、一九九四年の十一月十二日の朝日新聞などの夕刊に載った記事だ。
テレビで中継するとか、ケーブルテレビで中継するといえば普通のこと。
そんな記事が一面に載るはずもない。
テレビ番組表に載ることはあっても、音楽欄の記事になるかどうかもわからない。
インターネットで生中継されるから新聞ダネになるわけだ。
では、インターネットで生中継とは、どういうことなのか。
比喩にすぎないのだろうか。
音は聞こえるのか。
映像は見えるのだろうか。
どこに行けば見ることができるのだろうか。
疑問が次々とわいてくる。
答えは、演奏を聴くこともできれば、その模様を見ることもできる。
ただし、それは、テレビの画面ではなく、パソコンの画面の上で。
こういうと、最近売り出された、テレビも見られるパソコンで見るということか、と聞かれそうだ。
しかしこう問い返す人は、かなりの事情通である。
普通は、ここでなんのことやら意味がわからなくなってしまう。
しかし、ここであえて断定しよう。
インターネットは、テレビであると。
音も動画も同時に見聞きできるものがテレビだとすれば、インターネットは、まさにR.Sの生中継を見ることのできるテレビなのである。
また、インターネットは、電話である。
文字や絵も送れるから、もちろんファックスでもある。
オフィスではもちろん、家庭にまで普及しているファックス。
なかなか便利だ。
電話だと長い時間かかってしまう道順の説明も、ファックスで送れば簡単である。
電話やファックスと同じことができてしまうのが、インターネットだ。
そして、インターネットは、雑誌である。
私たちは、駅の売店やコンビニエンスストアや本屋で雑誌を買って読む。
きれいなグラビア写真をふんだんに使った美しい雑誌や、ある専門分野について詳しい情報が載る専門誌、小説を集めた文芸誌など、さまざまな雑誌を手にする。
これと同じようなものが、インターネットで手に入る。
インターネットは、新聞でもある。
時々刻々と変わる世界。
そのニュースを届けてくれるのもインターネットだ。
アメリカのクリントン大統領の演説やホワイトハウスがマスコミに発表したプレスリリースまで日本にいる私たちの手に入ってしまう。
しかも、即座に。
私たちが、日頃親しんでいるテレビや新聞、雑誌、日常的に使っている電話や郵便、ありとあらゆることがインターネットで可能になってきている。
モノを運ぶこと以外ならなんでもできるといっても過言ではないだろう。
地球規模でネットワークをつなげたものがインターネット
インターネットが、テレビや電話と同じようにマスコミや個人間のコミュニケーションの道具だとすれば、それは、これまでのテレビや電話とどう違うのだろうか。
インターネットの仕組みを探る前に、まずネットワークとはどういうものであるかを探っておこう。
いくつものネットワークをつないだものがインターネットなので、一つ一つのネットワークがどんな仕組みになっているかを探っておかないと、それをつないだもののイメージがつかみにくい。
ここでいうネットワークとは、企業のオフィスや工場、大学のキャンパスなどにある、いくつものコンピュータやOA機器をケーブルでつないだ通信網のことである。
これを口Iカルーエリアーネットワーク(LAN)という。
これを利用することで、同じ建物の別の部屋にいる人に文書を送ったり、他の場所にあるプリンタで絵や文字を印刷することができるのである。
文書を送るといっても、もちろん、郵便のように人手で運ぶわけではない。
ワープロやパソコンでつくった文書が通信網を伝わって、相手に届くわけだ。
これを電子メールという。
電子の郵便といってもいい。
電子メールで文書を送っておくと、相手は都合のよいときにそれを読んで、返信してくれる。
相手が不在でも、後で電子メールを読んでくれさえすれば用は足りる。
電話のように相手がつかまるまで、何度も番号をプッシュする必要もない。
このような構内通信ネットワークがあれば、無駄な時間を省くことができる。
このようなネットワークをいくつもつなげればもっと便利になる。
LANでつながるオフィス内でしかできなかった連絡も、LAN同士がつながれば、離れた支店にいる社員同士で電子メールが使える。
さらに、一企業内だけでなく、関連企業、取引先とつないでいけば、もっと便利になる。
そして、地球規模でネットワークをつないでしまえば、世界中のどこにいる人にでも電子メールで連絡がつくようになってしまう。
これがインターネットである。
それでは、ネットワーク間をどのようにしてつなぐのであろうか。
ネットワークの間は、通信回線で結ぶ。
電話よりはるかにたくさんの情報を運ぶことのできる専用回線で結ぶのだ。
一般にインターネットは無料だといわれているが、それは利用する研究者や会社員個人が使用料を払わないのであって、この専用回線をひいたり、接続機器を揃えるために多額の費用がかかる。
インターネットの利用が多くなればなるほど、ネットワーク間をつなぐ通信回線の需要は多くなる。
ネットワーク間をつなぐためには、ルーターという装置が必要だ。
郵便の宛先ごとに分類して送り出す集配局にあたる役割をするコンピュータがルーターだ。
電話の交換機のようなものといってもいいだろう。
そして、それぞれのネットワークをつなぐためには約束ごとが必要である。
これを通信プロトコルといい、インターネットでは、TCP/IPというプロトコルを使っている。
このようにつながれたネットワークの上を一つのネットワークから次のネットワークへと、情報が伝わっていく。
この情報を伝えるときに、特定の個人にのみ伝えれば、電話のような道具に近いものになり、不特定多数の人に伝えれば、新聞やテレビなどのマスコミに近いものになる。
インターネットは、そのような情報の通り道なのだ。
これまで情報の通り道は、その情報の格好によって、それぞれ専用のものを使わねばならなかった。
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